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賞与の前に確認する資金繰り|支給額・会社負担・翌月の納付を分ける

企経 企業経財 編集部 公開 2026.10.13 更新 2026.10.13 読了 約8分

賞与の支給額を決めるときは、従業員に示す額面だけでなく、社会保険料等の会社負担と、税金や保険料を納める時期まで確認します。支給日の振込だけを見ていると、翌月の残高が予定より少なくなることがあります。

額面と手取り、会社の総負担は違う

本人への振込額は、額面から本人負担の保険料や源泉所得税等を差し引いた金額です。会社は預かった本人負担分を納付し、さらに事業主負担分も支払います。資金繰り表では、額面と預り金の納付を二重に費用として数えないよう、振込と納付を分けて配置します。

会社負担率は、健康保険の加入先、年齢、雇用保険・労災保険の事業区分、賞与の額や支給履歴等で異なります。介護保険の第2号被保険者は原則40〜64歳です。「40歳以上はすべて同じ率」とせず、支給日に適用される料率で計算します。

標準賞与額の上限は保険ごとに違う

日本年金機構の案内では、賞与の税引前支給額から千円未満を切り捨てた標準賞与額を使います。健康保険の上限は年度累計573万円、厚生年金保険は同じ月の合計150万円です。同じ月に分けて支給しても、厚生年金の上限を別々に適用するわけではありません。

年四回以上の支給など、通常の賞与と異なる扱いになる場合があります。給与規程、実際の支給回数、加入や喪失の履歴を給与担当者と確認します。

届出と納付を、支給前に予定へ入れる

賞与支払届は原則として支給日から五日以内に提出します。賞与に係る社会保険料は月々の保険料と合わせて納めるため、支給後の納付予定まで残高を確認します。源泉所得税は原則翌月十日が納期限ですが、納期の特例を受けている場合等は扱いが異なります。

退職月と資格喪失月を取り違えない

日本年金機構は、資格喪失月に支払われた賞与は保険料賦課の対象とならないことなどを案内しています。ただし、退職日と資格喪失日は通常一日ずれます。月末退職なら資格喪失日は翌月一日となるため、「退職した月の賞与には保険料がかからない」とは言えません。

支給日が資格喪失の前か後かによって、届出の扱いも確認が必要です。支給日・退職日・資格喪失日を並べ、年金事務所や加入先の案内に沿って処理します。

未払いの決算賞与は、損金算入の条件を先に確かめる

使用人への賞与を通知した事業年度の損金にする取扱いには、各人別に同時期の支給対象者へ支給額を通知すること、通知した全員に期末翌日から一か月以内に支払うこと、通知した年度に損金経理することなどの要件があります。支給日在籍を条件とする通知等は取扱いが異なるため、税理士に確認します。

まず額面を仮置きし、給与計算で本人の振込額と会社負担を算出し、支給後の納付まで資金繰り表に置く。この順番で、出せる賞与額を考えます。

確認に用いた一次資料

情報確認日:2026年10月3日。

編集後記

賞与を出せるかどうかは、支給額だけでは判断できません。手取りの支払、預かった税・保険料の納付、会社負担の保険料を分けて資金繰りに置くことが大切です。会社負担額は加入制度、料率、年齢、標準賞与額の上限等で変わるため、一律16%と決めず計算します。
賞与支給月分の社会保険料は翌月の納付まで見通します。賞与支払届は原則として支給日から5日以内です。退職者への支給では資格喪失日と支給日の関係を確認し、保険料の対象か、届出が必要かを分けて判断します。決算賞与の損金算入も、通知・支払・経理処理等の要件を税理士と確認してから決めたいところです。

— 編集部
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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務・労務判断を行うものではありません。料率・制度の内容は改正されることがあります。実際のご判断は、顧問税理士・社会保険労務士にご確認ください。
【参考】e-Gov法令検索「健康保険法」第3条・第45条・第48条・第208条/「厚生年金保険法」第3条・第24条の4・第102条/「健康保険法施行規則」第27条/「厚生年金保険法施行規則」第19条の5/「所得税法」第186条/「法人税法施行令」第72条の3/日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」「年間の標準賞与額の累計額が573万円を超えたとき」/全国健康保険協会「令和8年度保険料額表(大阪府)」「子ども・子育て支援金率について」/厚生労働省「令和8年度の雇用保険料率」「令和8年度の労災保険率について」「毎月勤労統計調査」/国税庁 タックスアンサー No.5350・No.2505/国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)」