資金繰りが厳しくなったとき、多くの経営者がまず考えるのが固定費の見直しです。売上を伸ばすのには時間がかかりますが、費用は自分の判断で今月から減らせる。理屈としては正しい打ち手です。
ただ、削る順番を間違えると、翌月から売上のほうが先に落ちてしまうことがあります。この記事では、固定費をどう分類し、どこから手をつけるかを整理します。
試算表を開いて、金額の大きい費用から順に赤ペンを入れていく。いちばんやりがちで、いちばん危ないやり方です。
金額が大きい費用は、たいてい会社の売上を生んでいる費用だからです。人件費、広告費、主要な仕入先との取引条件。ここを大きく削れば、その月の支出は確かに減ります。しかし翌月以降、受注が細り、対応できる件数が減り、結果として売上のほうが早く落ちていく。支出は一度きりの削減、売上は継続的な減少という、割に合わない交換になりかねません。
見るべきは金額の大小ではなく、その費用が売上にどうつながっているかです。
固定費は、売上への効き方で3つに分けると判断しやすくなります。
使っていないサブスクリプション、実態に合わなくなった保険や保守契約、惰性で続いている会費や広告枠、使われていない倉庫や駐車場。ここが最初に手をつけるべき場所です。減らしても事業は回り、痛みもほとんどありません。
採用、教育、システムの更新、設備のメンテナンス、既存顧客へのフォロー。止めた月は何も起きません。効いてくるのは半年後、1年後です。一時的に絞るのは選択肢ですが、「止めた」ことを忘れないことが大切です。資金繰りが戻ったら戻す、という前提で扱いたい費用です。
受注に直結している広告、現場を回している人員、主要な外注先。ここは最後です。どうしても手をつける場合は、金額を一律で削るのではなく、成果が出ていない部分を特定して外す、という順序になります。
実際に手を動かすなら、次の順番が現実的です。
固定費の見直しは、必ずしも「やめる」だけではありません。支払いのタイミングをずらすだけでも、資金繰りの山は低くなります。
「支出を減らす」と「支出のタイミングをずらす」は別の打ち手です。資金繰りが詰まりそうな月がはっきりしているなら、後者のほうが事業への影響なく効くことがあります。
固定費の見直しは、金額の大きい順ではなく、売上への効き方の順で考えます。止めても売上が落ちない費用から手をつけ、効いてくるのが遅い費用は期間を決めて絞り、売上に直結する費用は最後に回す。この順番を守るだけで、削った分がそのまま残りやすくなります。
そして、削る前に一度、資金繰り表で「いつ・いくら足りないのか」を確かめること。必要な額がはっきりすれば、削らなくてよい費用まで削らずに済みます。
コスト削減の話をすると人員削減等をイメージする経営者の方が多くいますが、一概にそうではありません。
まず大切なのは現状の資金繰りを理解し、どのタイミングでいくら足りないのかということを正確に理解することです。
人件費は売上を確保するために必要なものであり、その他にも売上確保に必要な経費は多く存在します。そこを理解し自社の正常収益力を把握し事業計画に落とし込んでいく必要があります。
目先の数字にとらわれず、自社の状況把握を深めていきましょう。
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