「今回は見送りとさせてください」。この一言を受けたあと、多くの会社が次にやるのは、別の金融機関を当たることです。ところが同じ資料で二軒目、三軒目を回っても、同じ結果になることが少なくありません。
理由は単純で、どこで止まったのかを確かめないまま次に進んでいるからです。保証協会付きの融資は、少なくとも三か所の関門を通ります。止まった場所によって、次に打つべき手はまったく変わります。
保証協会付き融資の申込みは、おおまかに次の順で進みます。
担当者と支店で、そもそも申込みとして上に上げるかどうかが判断されます。ここで止まると、審査そのものが行われません。「今回は難しそうです」という柔らかい言い方になることが多い部分です。
支店から上がった案件を、銀行として引き受けるかどうかが判断されます。保証協会付きであっても、銀行にはまったく責任がないわけではありません。
保証を引き受けるかどうかが判断されます。ここで否決されると、その保証協会の枠を使った融資は、当面どの金融機関を通しても難しくなります。
2番目の関門があるのは、責任共有制度があるためです。原則として、保証協会が8割を保証し、残りの2割は金融機関が負担する仕組みになっています(負担金方式をとる金融機関もあり、実質的な負担は同等です)。つまり保証付きであっても、銀行は自分の腹が痛む部分を持っています。「保証協会が付くのだから銀行は安心なはず」という前提は、正確ではありません。
止まった場所は、聞かなければ分かりません。そして、聞くことはできます。気まずさはありますが、この一回を避けると、次も同じところで止まります。
聞き方としては、否決の理由そのものを問い詰めるより、手続きがどこまで進んだのかを事実として尋ねるほうが答えが返ってきやすい傾向があります。
| 保証協会まで 回ったか | 「保証協会さんには上げていただけたのでしょうか」。ここが分かるだけで、次の選択肢が半分に絞れます。 |
| どの制度で 申し込んだか | 一般の保証か、制度融資か、別枠のある保証か。制度によって審査の見方が違います。 |
| 資料の不足が あったか | 「次に持ってくるとしたら、何を揃えておくといいですか」。将来の話として聞くと答えやすくなります。 |
| 金額なのか 可否なのか | 「この金額では難しい」のか「借入自体が難しい」のかは別の話です。減額なら通る場合もあります。 |
審査に上がる前に止まっているなら、会社の中身が否定されたわけではありません。多いのは、次のような理由です。
この場合にやることは、他行を回ることではなく、資料を整えてもう一度同じ担当者のところへ行くことです。担当者は、社内で会社の代わりに説明する立場でもあります。その人が使える材料を渡す、という発想に切り替えると、結果が変わることがあります。
持っていくものとしては、直近の試算表、これから半年ぶんの資金繰り表、借入の一覧(借入先・残高・毎月の返済額・完済時期)、そしていくら必要で、それが何に変わり、どこから返すのかを書いた1枚。形式は問われません。
保証協会には回っていないが、銀行として引き受けなかった、という場合です。ここで止まる理由は、決算の内容そのものであることが多くなります。
この場合、同じ資料で他行を回っても結果は変わりにくいのが実際のところです。決算書は同じものが出るためです。ただし、まだ選択肢は残っています。
民間の金融機関とは判断の枠組みが異なります。すでに取引がある場合も、まだの場合も、別のルートとして検討する余地があります。
都道府県や市区町村、信用保証協会、金融機関の三者で組み立てられている融資です。利子や保証料の一部を自治体が補助する形になっていることがあり、通常の申込みとは別の窓口から入ります。
希望額が通らなくても、減額なら引き受けられることがあります。小さくても返済実績が積み上がると、次の相談のときの材料になります。
いちばん重いのがこの場合です。保証協会の判断は、その協会として一本になっているため、金融機関を変えても結果が変わりにくい構造になっています。
ここで確かめておきたいのが、枠の問題なのか、内容の問題なのかです。保証には限度額があり、一般的な枠としては普通保証2億円と無担保保証8,000万円をあわせた2億8,000万円という水準が示されています。この枠を使い切っているために止まっているのであれば、話は内容ではなく枠の問題です。政策目的に応じた別枠の保証制度が用意されている場合があり、そちらで検討できることがあります。
内容の問題である場合は、次の融資を探す前に、財務そのものを立て直す段取りに切り替えるほうが結果的に早くなります。ここで使える公的な仕組みが二つあります。
各都道府県に設置されている公的な窓口です。1年から3年の収益力改善計画づくりを一緒に進めてくれます。計画策定にかかる費用は原則として無料とされており、計画成立後は定期的な進捗確認も行われます。
認定経営革新等支援機関の支援を受けて計画を作る場合に、費用の一部が補助される制度です。計画策定支援は補助率3分の2・上限50万円、その後の伴走支援は補助率3分の2・上限30万円という枠組みです。計画には、ビジネスモデル俯瞰図、アクションプラン、損益計画とともに、資金繰表が含まれます。
断られた直後にこうした話を聞くと、遠回りに感じられるかもしれません。ただ、計画を作って金融機関に共有している状態と、断られたまま何も動いていない状態とでは、次に相談に行ったときの受け止められ方がまるで違います。
ひとつは、売掛金の資金化を「つなぎ」の位置に留めておくことです。入金までの穴を埋める用途には有効ですが、手数料は融資の金利とは水準が違います。繰り返し使うと、翌月の資金繰りをさらに圧迫します。使うとしても、いつまでに卒業するのかを先に決めておくのが安全です。
もうひとつは、借りずに済む部分を並行して進めることです。入金と支払いのサイトの見直し、固定費の点検、在庫の圧縮。派手ではありませんが、ここが動いている会社は、次の融資相談のときに話す材料を持っています。
そして、苦しいときほど注意したいのが調達の相手です。相場からかけ離れた条件、契約書を十分に見せない、こちらの判断を急かす。こうした兆候があれば、いったん立ち止まってください。健全な相手は、急かしません。
断られたこと自体より、その後にどの順番で手を打つかで、半年後の状況は変わります。まずは、どこで止まったのかを一本の電話で確かめるところからです。
断られた理由については教えてもらえないことがほとんどではありますが、ぽろっとされっぽいことを言ってくれることもあります。
なので断られた直後で落ち込みがちですが最後までしっかりと話を聞くことは大切です。
理由がわからないまま進むことが最も方向性がわからなくなり正常化までの遅れが発生する要因となりがちです。
追加融資だけではなく現状を把握したうえで中長期での建て直しを考える必要性もあるかもしれません。
何事においても切羽詰まる前段階から動き始めましょう。顧問税理士や専門家に客観的な意見をもらうとも良いかもしれません。
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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の資金調達手段の利用や、審査の結果を保証・推奨するものではありません。制度の内容や限度額は改正されることがあります。実際のご判断は、取引金融機関・信用保証協会・専門家にご確認ください。