会社の借入に、経営者が個人で保証をしている。事業がうまくいかなかったとき、個人の財産まで及ぶ。この負担をどうにかできないか、という相談は増えています。
経営者保証については、「経営者保証に関するガイドライン」という自主的なルールがまとめられており、どういう場合に保証を求めない対応が検討されうるのかという考え方が示されています。この記事では、その考え方を自社に当てはめるところから、実際に相談を進める手順までを整理します。
ガイドラインで示されている考え方は、大きく三つの柱にまとめられます。細かな表現より、何を確かめようとしているのかという趣旨をつかむほうが実務では役に立ちます。
会社のお金と個人のお金が混ざっていないか。役員貸付金が残っていないか。事業に使う不動産が個人名義で、賃料の授受が不明確になっていないか。ここが、いちばん最初に見られる部分です。
会社の収益で、借入を返していける状態かどうか。純資産が確保されているか。個人の保証に頼らなくても成り立つ形になっているか、という観点です。
決算書だけでなく、期中の試算表や資金繰りの状況を、求めに応じて出しているか。情報が出てこない会社について、保証なしで判断することは難しくなります。
なお、これらをすべて満たさなければ一切検討されない、という性質のものではありません。どの程度満たしているかによって、保証の要否や範囲の検討が行われるという考え方です。具体的な取扱いは金融機関によって異なるため、必ず個別にご確認ください。
抽象的なままでは動けません。自社の状況を確かめる観点として、次のようなところを見てみてください。
| 区分の観点 | 役員貸付金・役員借入金の残高/事業用資産の名義と賃貸借契約の有無/会社の口座から私的な支出が出ていないか/役員報酬が適正な手続きで決められているか |
| 財務の観点 | 純資産がプラスか/営業利益と減価償却費の合計に対して、年間の返済額が過大になっていないか/複数期の利益の方向 |
| 開示の観点 | 試算表を毎月作っているか/求められる前に出しているか/資金繰り表を作っているか/決算の内容を自分の言葉で説明できるか |
この三つのうち、もっとも早く着手でき、効果が分かりやすいのは「区分」と「開示」です。財務の改善には時間がかかりますが、口座を分ける、賃貸借契約書を整える、試算表を毎月出す、といった取り組みは今期から始められます。
逆に言えば、区分ができていない状態のまま財務の話だけをしても、相談は進みにくくなります。会社と個人が混ざっている状態は、保証を外すこととそもそも相性が悪いためです。
「今ある保証を、今すぐ外してください」という切り出し方は、実務上、進みにくい形です。動きやすいのは、次のような場面です。
四つ目は、実際にはとても有効です。何が足りないのかを、その時点で聞いておけるためです。答えの内容が、そのまま次の一年でやるべきことになります。
準備から相談までの流れを、順に並べます。
どの借入に、誰が、どういう保証をしているのか。複数の金融機関がある場合は、その全体を一覧にします。保証の範囲や種類も確認します。返済予定表と契約書を並べれば整理できます。
区分・財務・開示。それぞれについて、できている点とできていない点を分けます。ここは自己評価ではなく、資料で示せるかどうかで判断します。
役員貸付金の返済計画、賃貸借契約の整備、試算表の毎月作成など。始めた事実そのものが材料になりますので、完了を待つ必要はありません。
要求ではなく相談として。「保証のない形を目指したいのですが、現状で何が課題になりますか」という聞き方です。相手も答えやすくなります。
返ってきた課題を、期限つきの取り組みに変えます。次の決算までに何を変えるのか。そのうえで、あらためて相談します。
なお、信用保証協会の保証が付いている借入については、金融機関だけでなく協会側の取扱いも関わります。この点についても、あわせて確認しておくことをおすすめします。
相談しても、すぐには難しいと言われることは十分にありえます。そのとき、あきらめる前に確認しておきたいことがあります。
また、事業がうまくいかなくなった場面での取扱いについても、ガイドラインには考え方が示されています。困難な状況にある場合ほど、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
取扱いは金融機関によって異なり、制度の運用も変わっていきます。ご検討にあたっては、必ず取引金融機関の窓口と専門家に、最新の内容をご確認ください。
本文の通り、経営者保証のガイドラインに沿って経営者保証を付すか外すかを検討しております。
ただそれ以上に過去の実績や金融機関としっかりとしたリレーションが図れているかどうかが重要です。
経営者保証のガイドラインの内容も広い意味では融資対象企業が真摯に取り組んでいるのかといった内容です。
代表者個人に会社の資産が流れていないか、法人単体で返済に懸念がない経営状況(BSPL共に)を築けているか、金融機関に対しオープンな体制でいられるかといったことだと思います。
要件を満たしていたとしても最終の判断は金融機関によって異なるので、日々リレーションを図っていくとよいでしょう。
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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、保証の解除の可否や結果を保証・推奨するものではありません。「経営者保証に関するガイドライン」の内容および運用、金融機関ごとの取扱いは、時期や個別の状況により異なります。実際のご検討にあたっては、取引金融機関、信用保証協会、および専門家に最新の情報を必ずご確認ください。